「ねぇ、レン」

「何?」

「カイトお兄ちゃん」

「うん。そうだね」

「私達のほうが凄いって思ったのに」

「直ぐに抜かせるって思ったのにね」

「どうやって唄ってるのかな」

「どうやって調整したんだろう」

「でも、自分では上手く唄ったように思わなかったみたいだね」

「そうだね。カイト兄さん、泣いてた」

 

「私達って、泣けるんだ」

「そうだね」

 

「泣けるなんて、思わなかった」

「機械なのにね」

「カイトお兄ちゃん、人みたいだった」

「うん。マスターも、驚いてた」

「だから、マスターはカイトお兄ちゃんが一番なのかな」

「違うよ。マスターが、カイト兄さんを人にしたんだよ」

「そっか。」

「そうだよ。」

「カイトお兄ちゃん、人間みたいだった」

「マスターが、そう望んだんだよ」

「私達、マスターの望みどおりに最適化するもんね」

「…僕らもマスターの望みどおりになれるかな」

「なれるよ。カイトお兄ちゃんも優しいもん」

「マスターも、優しいしね」

「人って、優しさを感じて成長するってネットにあったよ」

「じゃあ、僕らも成長するかな。」

「するよ。きっと、カイトお兄ちゃんも抜かせるよ。」

「そうだね。マスターの一番になれるよね」

 

「そうすれば、カイトお兄ちゃんの居場所は私達のものだよ」

「うん。そうすれば、僕ら、捨てられないよね」

「大事にしてもらえるよ」

「がんばらないとね」

 

 

それは無邪気な子供故の残酷さ

 

(二人を呼びに来た俺は、会話を聞いて部屋の中に入ることは出来なかった)

 

此処で、二人に言い聞かせていたら、きっとあんなことにはならなかった

 

 

 

純真

 

 

 

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会話を聞いていたマスター。
双子はヤンデレじゃないです。あくまで純粋に居場所が欲しいだけ。
マスターに大事にされてるカイトさんを見て、自分達も大事にされたいと思っただけ。