気がついたらベッドの中にアッシュがいた。
寝る前はあれだけ誘っても一緒に寝るどころか頑なに寄りもしなかったのに。
鼻先を擦り付けるように腕の中で眠っている。
おそらく寒くなりもぐりこんでしまい、無意識のうちにしているのだろう。
そうわかっていても体は強張り身動きが取れなくなる自分に苛立ちを覚える。
息を深くはいてもそれはまったくとれず息苦しく感じた。
自分から言っておいて、実際にこうして一緒に寝ると妙に緊張する。
腕の中でアッシュが身じろぎ、どくりと心臓が高鳴った。
少し体勢を変えただけでこの子供は起きなかった。
安心してほっと息をつき、それでも体の緊張は取れないことに気付く。
可愛らしいなんて思いはしないが、それでも安心しきり全てを預け、すやすやと眠る寝顔を見ていると愚かすぎて愛らしく思えてくる。不意に、気付いてしまった。
自分の鼓動が普段より早く、そして大きく感じる。
静まった部屋だからこそそう思えるのかもしれないが、それは確かだった。
どうして自分は緊張しているのかも考えれば、自分らしくない考えに行き当たりため息をつきたくなった。
少し腕の中の子供を引き寄せれば、鼓動はさらに高くなる。
自覚せざるをえなかった。自分は本気で、この子供がすきなのだと。
いままで何度もからかってきてはいたが、まさか本気だとは思わなかった。
第一自分の年齢の半分しかない子供に恋愛感情を抱くなど、正常ではありえないことなのだ。
父親が息子を愛するようなものなのだと思いたかったが、今この状態で欲情している時点で終わっている。
すこし開かれた薄い唇から漏れる吐息、完全な無防備な姿。
引き寄せられるように唇を、重ねて離れようとした瞬間、アッシュの目がゆっくりと開かれて 頭が真白になった。
不意に気がついたときには、アッシュは完全に意識を朦朧とさせていた。
何がなんだか分からない、という視線が送られていることには気付いているが、その瞳に力はなく潤んでいた。
そればかりか頬は紅潮し、荒々しく息をして、濡れた唇から熱い吐息が漏れている。
自分が何をしたのかを悟りたくも無かった。
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理性で生きていると思っていた自分が本能に任せてこの子供の唇を貪っただなんて