耳掃除のやり方を教えられて、覚えた。
今僕の膝の上では、マスターが寝ている。
とある日の午後
「マスター…痛くないですか?」
「ん…だいじょぶ…」
とろんとした声が聞こえてきて、ほっと息を付く。
マスターの耳に差し入れた棒をくるっと回して抜き取った。
「んっ……」
「あっ、い、痛かったですか?」
「んーん……だいじょーぶ…」
おろおろして尋ねると、またとろんとした声で返事が帰って来た。
一瞬マスターの上げた声にドキっとしてしまったけれど、そんなことは勿論マスターに言える訳もなく。
「マスター、終わりましたよー。」
「んー……」
ごろんとマスターが仰向けになって、僕の膝の上に寝転んだ。
凄く気持ちよさそうで、思わず頭をなでてしまった。
マスターは小さく唸って、今度はうつぶせに寝転んだ。
「マスター…」
「…このまま寝させろ」
眠そうな声でそういうと、マスターは僕の膝に寝転んだまま眠ってしまった。
起こす前にすやすやと規則正しい寝息が聞こえてきて、僕は小さく溜息をつく。
「……マスター、可愛い」
ぷに、と頬をつついても起きないマスターを見て、一人でクスクスと笑う。
もしマスターが起きてたら、殴られてるんだろうなぁと思いながら、ぷにぷにと頬をつつく。
柔らかいマスターの頬。
「…僕の膝なんて硬いでしょうに…」
小さく呟きながら、マスターの髪を優しく梳かす。
何時も、僕に優しくしてくれる大好きなマスター。
「……ちょっとだけいいですよね?」
返事が無いことは分かっていながら、小声で聞いた。
すやすやと、眠るマスターの頭にそっとキスをする。
いつもなら、恥ずかしがって決してさせてはくれないから。
「マスター…大好きです。」
ふわふわの髪を撫でて、囁く。
小さく身じろぎをしたマスターは、ぎゅっと僕の手を握った。
ぬくもりが伝わってくる。ああ 暖かいなぁ。
「マスター、大好きですよ。
澄んだ目が俺を映して微笑むときも、
凛とした声が俺の名前を紡ぐときも、
柔らかな手が俺の頭を優しく撫でるときも、
いつもいつも、大好きです。」
どうか何時までも笑っていてくれますように。
幸せで居てくれますように。
「貴方が幸せなら、俺も幸せなんです。」
優しく、頬にキスを落とした。
「………キザったらしい奴だな」
「!ま、マスター!起きてたんですか!?」
「最初から寝てねーよ…」
ほんのりと顔を赤らめて起き上がったマスター。
全部聞かれてたなんて!恥ずかしくてしょうがないですよ!
顔が赤くなっているだろうなぁ。顔が熱い。
「俺も、お前が幸せなら、幸せだよ。」
はにかんで、マスターが笑う。
「だから、傍に居てくれよ」
そう言って、マスターは僕を優しく抱きしめた。
なんとなく、マスターが壊れてしまいそうで。
マスターが壊れてしまわないように、強く抱きしめて繋ぎとめた。
温もりを感じる。
マスターが生きているのだと分かる。
「大好きだよカイト。」
嗚呼
マスターの言葉一つで、僕はこんなにも幸せになれるんです。
マスターも そうだといいな。
不安定に見えるマスターを支えているのは僕なのだとうぬぼれても良いですか?
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カイトは真顔で気障な台詞を言っても似合うと思います←
そしてマスター、惚気に惚気で返してます。恥ずかしくないのか。
通りすがりその2さんのリクエスト、カイトがマスターに膝枕をしてほのぼののんびりラブラブでした。リクエスト有難うございました!!