何処が好き、なんて、上げだしたらキリがないよ

 

 

ぷりーず!

 

 

マスターからキスされて、嬉しくて頭が真っ白になった気がした。
目を見開いて、呆然とマスターを見ると、笑われた。

 

「すげー間抜け面。」
「えっ、酷い、マスター。」

 

マスターを抱きしめてた両手のうち右腕を頬に当てて、自分の顔の形を確認する。
あ、ほんとに間抜けかもしれない。口開けっ放しだ。

 

「マスター、大好きです。」
「うん。」
「ねぇ、マスター、マスターも好きって言ってください。」

 

言ってくれないと不安とか、そういうわけじゃない。
僕が注ぐのは盲目の愛。
マスターが僕の事を好きじゃなくても、僕は多分ずっとマスターの事が好きなんだと思う。
ただ、言って欲しいだけ。

ただ、見たいだけ。

 

「……す、き。」
「有難うございます、マスター。」

 

この二文字を紡ぐときの、マスターの恥ずかしそうな顔が可愛くて。
なんて言ったら怒られるかな、なんて思いながら、マスターの額にキスをした。

この触れている唇から、

僕の思いが全部伝われば良いのに。

 

「カイト、くすぐったい。」

 

ちゅ、と幾つもキスの雨を降らせていると、マスターがくすぐったそうに身をよじった。
マスターは恥ずかしそうに目を閉じていて、頬がほんのりと赤らんでいて、それが可愛くて。

 

「マスター、本当に、大好きですよ。」

 

気が狂いそうなほどに好きなのに、この”好き”という言葉に詰められる思いは限られている。

そんな気がして、何度も何度も言葉を紡ぐ。

あと何度言葉を紡げば、僕の思いは全部マスターに届くんだろう。

 

「好きです、マスター。」
「何回も言わなくてもわかってるよ」

 

苦笑して僕の頬を撫でるマスターに、笑いかけた。

 

それでも、マスター。僕は足らない。

 

もっともっと、この気持ちが伝われば良い。

 

どうか わかって

 

(僕のこの想いの3分の1でもいいからどうか  どうか)

 

強くマスターを抱きしめて、目を閉じて、思った。
僕の頭を開いて見せることが出来たら、全部伝わるかなぁ、なんてね。

 

 

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カイト視点。イメージソングは「1/3の純情な感情」bySIAM SHADE