※吸血鬼パラレルなジェイアシュです。
 ちょっとばかり流血表現が含まれますので注意です。
 吸血鬼はアッシュな方で。私の趣味です←

 

 

 

 

 

「腹が減った。」
「はいはい、わかりましたよ」

 

 

 

 

この家に住み着いてから、どれくらいの時間が経っただろうか。
こんなに一人に執着したのは始めてかもしれない、と、目の前の男を見ながら思う。
とはいえ、血を飲んだのはこの男が始めてになるのだが。

 

「どうぞ。好きなだけ飲んでください。」
「ふん。本当に飲んでいいならそうするぞ。確実にお前は死ぬな。」
「おや。私に死なれて構わないというなら、どうぞ?」

 

俺に包帯を外した右腕を差し出しながら、ジェイドが笑う。
出来ないとわかっていながら言うから性質が悪い。
右腕に残る一筋の傷跡に爪を立てて、傷を作った。

 

「毎度思うのですが……わざわざ傷をつけないといけないんですか?」
「痛いのか?」
「当たり前でしょう。これでも人間なんですよ。」

 

苦笑気味に言うジェイドを見ながら、ちろっと傷から流れる血を舐める。
コイツの血は甘くて美味い。他の人間もこんな味がするのかは知らない。
この血の味の虜になったと言っても過言ではないが、本人にそれを言うつもりはない。

 

「普通なら噛むと思うんですけどねぇ…」
「噛まれたヤツは吸血鬼になるだろうが。」
「………それは迷信ではないんですか。」
「あぁ。」

 

言いながら、流れる血を舌で舐めとる。
甘い血の味にくらくらする。

 

「美味しいですか?」
「まずかったら飲まねぇよ。」
「それもそうですね。」

 

あっさりと納得したらしいジェイドは、血を舐め取る姿を見続ける。
正直言ってかなり居心地が悪いが、甘い血の香りが思考を奪う。

このまま噛み付いて、血を飲み干してしまおうか。

思考が、巡る

 

「そういえば、貴方は元が人間だったわけではないんですよね?」
「ああ。」

 

まだまともな思考が、ジェイドの言葉に答える。
ふむ、と何かを考え込むような仕草をしながらも、ジェイドは腕を俺に向かって投げ出したままだった。

人の血は無限ではないことは知っている。

それでも、足りない

この飢餓感は血が足りないことに対するものなのか、それとも

 

「で?俺を対象にした吸血鬼の研究は進んでいるのか」
「それが、どうにも上手く進まないんですよ。」

 

わざとらしく肩をすくめるジェイドを見ながら、傷口から離れる。
薄っすらとまだ流れる血を拭い取り、ジェイドの傷口に包帯を巻いてやった。

 

「………進めてないんじゃないのか」
「どうでしょう。」

 

顔を上げれば、にっこりと笑みを浮かべたジェイドの顔があった。
胡散臭い笑みだ、と最初に思ったのと同じ印象を抱く。
包帯を巻き終えると、包帯の巻かれた手が俺の腕を掴んだ。

 

「……おい。」
「脈は、あるんですね」

 

毎日確認してるだろうが、という気持ちを込めて睨みつけると、ふっと鼻で笑われた。
苛立ちが急激に募り、乱暴に腕を払おうとした時、不意に腕を引かれて前につんのめる。
そのまま腰にもう片方の腕が回され、ジェイドに乗りかかる形になった。

 

「……なんだ。」
「体温は少し低いんですね」
「ッ…毎日確認してるだろうが…!」
「さっきも思ってましたよね、それ。」

 

背中をさすられて、ぞくりと肌が粟だった。
子供をあやすような手の動きだが、人に体を触られるのは好きじゃない。

そう思えなくて、気持ち悪くなる

 

「分かってるなら、聞くんじゃねぇよ」
「違う答えが返ってくるかもしれないじゃないですか。」
「変えねぇ。」

 

離せ、と言いながらも、自分から抵抗はしない。
口だけだとわかっているから、ジェイドも俺を離そうとしない。

ヒトの鼓動の音が、心地よくて

 

果たして、俺がコイツから離れられないのか、それともコイツが俺を離さないのか

 

俺にはまだ理解できない

 

(ヒトはどんな感情を持っているのか、その感情は俺と同じものなのか わからないから)

 

「なんですか?」
「……別に。」

 

だから 好きとは言わない

(もしもお前に対する感情が唯の食欲であると 思いたくはないから)

 

 

 

 

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長くお待たせしてしまいました…orz
なななさんのリクエストで、パラレル系のジェイアシュでした!
趣味にかたよってすみませn

 

リクエスト、どうもありがとうございました!!