マスターと一緒に外にお出かけをすることになった。
交換してみよう
「マスター、コレ美味しいです!」
「そんなに?」
「はい!すっごく美味しいです!」
マスターと一緒に入った喫茶店で頼んだストロベリーサンデーを食べて、素直に感想を言う。
イチゴのアイスクリームの上に生クリーム、さらにその上にイチゴソースがかけられた、この喫茶店のオリジナルらしい。
マスターは自分が頼んだコーヒーゼリーのパフェを食べながら、嬉しくて次々と食べていく僕を見て、複雑そうな顔で溜息をついた。
「そんなに甘そうなのよく食えるよな」
「マスターの食べてるやつだって、甘いんじゃないですか?」
「俺のはコーヒーで中和されてるの。」
あまり甘党ではないマスターは、コーヒーの苦味が少し入ったほうが美味しいのだという。
たしかにおいしそうだけど、やっぱりアイスが入っているこっちのほうがいいと思う。
「でもコレ、本当に美味しいんですよ?」
「それは分かったって。いいから食えよ。」
この美味しさをどうにか分かってもらおうと思って言葉を探すけれど、マスターにストップをかけられてしまった。
あまり此処で時間を潰すわけにも行かないし、マスターの言う事に従ってさっさと食べることにした。そうして食べていると、ふとマスターからの視線を感じて顔を上げる。
「………マスター、食べたいんですか?」
「え?」
僕が声を掛けて初めて気付いたというように、少し上ずった声で返事をした。
なんだかんだいいつつ、やっぱりマスターも興味があるんじゃないか。
「一口食べますか?」
はい、と一口分スプーンでアイスをすくって、マスターに差し出す。
少し躊躇った様子を見せた後、マスターはきょろきょろと辺りを見渡した。
どうかしたのかな、と思っていると、僕の手をマスターががしっと掴んだ。そして、そのままぱくりと食べてしまう。
「……美味い…けど甘い……」
僕はスプーンごとマスターに渡すつもりだったから少し驚いてしまった。
でもなんだか僕が食べさせたみたいでちょっと嬉しくて、そのままスプーンでぱくぱくとストロベリーサンデーを食べ始める。
すると、マスターが小さく声をあげた。
「?どうかしましたか?」
「え……いや、なんでもない。気にすんな。」
といいつつも、マスターは明らかに動揺している。
自分のスプーンをくるくると回したり、ほんのりと赤くした頬を手で覆うようにしてみたり。
何かしたかな、と考えながら自分のスプーンをかじる。
「あ。」
マスターが食べたまま、僕は同じスプーンで続きを食べた。
ということは
「マスター、間接キスですね」
「!!」
ぼっと一気に顔が赤くなったマスターを見て、ニコニコと笑う。
いつも気にしていなかったけれど、こうして外ですると少し恥ずかしいのかもしれない。
だからマスターは辺りを見渡して、人が見ていないか確認していたんだろう。
「マスター、僕もマスターのパフェ、一口食べたいです。」
そう言ってあーん、と口を開ける。
マスターはさらに顔を赤くして、この馬鹿、と小さく呟いた。
やっぱり食べさせてくれないかな、とあきらめかけたとき
「……っ…ホラ。」
照れ隠しなのか少し乱暴だったけれど、マスターはちゃんと僕にパフェを食べさせてくれた。
口の中にコーヒーの苦味が広がった後、甘さがそれを中和していく。
「美味しいです、マスター。ありがとうございます」
「…もうやらないからな。」
目を逸らしながら続きを食べ始めたマスターを見ながら、ふと思った。
「マスターって、コーヒーゼリーみたいですよね」
「はぁ?」
「だって、ぶっきらぼうで乱暴なことするけど、実は優しくて、照れ屋さんなだけですから。」
「!?」
もう赤くなるところがないくらい顔を赤くしたマスターを見て、思わず噴出してしまった。
それに怒られながらも、やっぱりマスターは可愛いなぁ、なんて思ってしまうわけで。
(俺はこの人が好きだなぁ、って、より実感してしまって)
「マスター、大好きですよ」
「煩いっ。」
怒ったようなその仕草も照れ隠しだと、
僕はちゃんとわかってますよ、マスター。
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マスター照れ屋な上にカイトに振り回されてます。
きっとこの二人、家では普通にこんな食べ方してると思います←
でも外に出ると恥ずかしいんです。マスターは。(ぇ
サキさんのリクエスト、カイマスでラブラブでした。リクエスト、どうもありがとうございました!!!