-Long time no see-

 

俺の視線の先
そこには一人の転校生
俺はそいつから目が離せなくなっていた

特に容姿が派手な訳でも特徴的な何かがある訳でもない
(顔とルックスはそれなりに整っているが…)

見るのも今日が初めてだし、勿論話したこともあるはずなどない
彼は転校生なのだから

それなのに
なんだこの感覚は…

 

早く、そして強く脈打つ心臓
それは今までに味わったことのない高揚感

 

急停止する思考
それはまるで俺を深海へと誘うかのようで

 

徐々に女子の奴らがざわめきだす
そして彼は担任に促され教壇の上で自己紹介を始めた

しかし今の俺にはそんなのは全く意識の外で、ただ狂ったかのように鳴る鼓動しか聞くことが出来なくなっていた

そんな中、次第に先程からの感覚は自分に対する違和感に変わる
その違和感が一体何なのかを考えたが更にまた疑問が増すばかりであった

ふと我に帰ったのは、彼の自己紹介が終わったのであろう、クラスの奴らの拍手を聞いてだった
あれだけジッと見ていたこともあり、何度か目もあったがどうすることもできず、ただただそのまま自問自答を繰り返すだけだった

そしてその自問自答から導き出したこと

それは

 

“俺はこいつを知っている”

 

何故だかは分からない
根拠もない
だけど、俺にはそういう結論しか出すことができなかった

そんなことを思っていると、担任が俺の方を指差して彼に何かを言っていることに気づいた
担任が話し終わるとそれは俺の方に向かって歩いてくる
恐らく座席を教えていたのだろう
後ろを見れば、昨日までにはなかった机と椅子が置いてある

彼が近づくにつれて更に激しくなる鼓動
俺の横を通ったときそれはピークを迎える

そして

彼が通りかかった瞬間、先程の俺の出したあやふやな答えは確信へと変わる
それはその時に彼が小さく呟いた一言から

 

 

 

『会いに来たよ…、鬼男くん』

 

 

 

その声と彼の表情は嬉しそうで、でもどこか儚くて…

その理由(わけ)と“昔”についてのことを知るのはもう少し後の話

 

 

 

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友人あかつきから送ってもらった天国現代パロでs
続き 続き楽しみにしてるよ!!←