帰ってきてみれば、薔薇の香りが部屋に充満していた
バスタブを紅く染めて Vergil side
風呂で馬鹿なことをやっていた愚かな弟をほうって寝室に行き、コートを適当に放り投げる。
首元を緩めてベッドに腰を下ろすと、ダンテが髪から水を滴らせたままドアを開けて入ってきた「バージル、さっきの・・・・わぶっ」
「ちゃんと髪を拭け、馬鹿が」
「わ、わかった。それより、さっきのことなんだけど」
「俺は寝る。邪魔をしたら殺す」
「ちょっ・・・・なんだよ、それ!今俺がなんか話そうとしてんだろ!」
「お前のくだらない話など聞いてる暇はない」
「あと寝るだけなんだろ。俺の話ぐらい聞いてくれよ」腕をつかまれた時、薔薇の匂いが香る。
コイツには不釣合いな匂いだ「・・・・離せ。」
「アンタが俺の話を聞いてくれるってんならな」匂いに本当に酔ったのか、くらくらしてきた。
薔薇の香り ワインの香り そして「・・・・いいだろう、聞いてやる」
予想外だったらしい俺の答えに、ダンテは一瞬呆気を取られて腕を掴んでいた手から力を抜く。
その一瞬のうちに、ダンテをベッドに押し付けて自分はそれに覆いかぶさるように体制を変えた「っ・・・・・・」
「言ってみろ、どんな話だ?」
「これが、話する体制かよ」口元だけを笑みの形に吊り上げながら、精一杯の虚勢を張っているようにしか見えない弟。
思わず笑みがこぼれる「早く言わないとまともに話せなくなるぞ」
「オイ・・・・・・」薔薇とワインの香りに酔ったのだと、自分に言い聞かせて
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翌日、ダンテに話を聞いてみたが俺がアイツをどう思ってるかなんて、今更聞かなくてもわかるだろう