平和主義なんざクソ喰らえ
殴りあわなきゃ分からないこともあんだろ?
なんてことを思いながら、俺達は今日も殺し合いという名の喧嘩を始める
ロンド
銃声と金属音が鳴り響き、その度にゾクゾクと背筋がうずく。
早く、早くアンタにこの剣をブッ刺して、その感触を感じたい!
「この馬鹿が。」
「あぁ?なんだってんだ、いきなり」
「眼は口ほどにモノを言うものだ、ダンテ」
バージルが俺の名前を呼んだ瞬間、ざわりと喜びが身体を駆け抜ける。
言葉の意味を理解すると同時に、バージルの刀を剣で弾いた。
ギンッと鈍い金属音が聞こえて、右手の骨の髄まで振動が響く。
この痛みすら心地いいと言ったら、きっとアンタは鼻で笑う。
「そんなにわかりやすいか?」
「ああ。お前の場合は特にな」
冷静な表情のまま、距離をとって刀を鞘に収め体勢を整えるバージルを見て溜息を付く。
剣を床に刺して、ホルダーから銃を抜いた。
「殺し合いの最中に、そんなところまで見れるのはアンタぐらいだぜ、バージル」
口の端が釣りあがるのを押さえられないまま、引き金を引いた。
この距離で、体勢も崩さずに銃弾がバージルに届くなんて爪の垢ほども思ってない。
しかし名前を呼んだ時に一瞬動きが遅れて、バージルの頬を銃弾が掠めた。
それに一番驚いたのは、撃った俺。
「……アンタも動揺することってあるんだな。」
「ハッ。」
鼻で笑いやがった。
ムッとして、何回も引き金を引いて、左手で剣を抜いた。
バージルが銃弾を弾きながら、徐々に近づいてくる。
「楽しいなぁ、バージル!こんなに盛大な兄弟喧嘩なんか、アンタ以外とじゃ絶対にできねぇ!」
「不愉快だが、その言葉には同意してやる。」
「流石双子、ってか?俺ら根っこじゃ繋がってんだ!当たり前だろ!」
バージルの間合いに入った瞬間、相手の殺気が膨れ上がった。
ああ、楽しい、楽しすぎる。
テンションが一気に上がるのを感じながら、剣を横になぎ払う。
ガキンと音が聞こえて、その剣がバージルの刀の腹で止められた。
それも構わずに一気に振りぬいて、壁に叩きつけようとした。
確かにバージルは飛んだのに、空中で体勢を直して壁に着地しやがった。
この調子じゃいつまで経っても決着が付かない、と思って、笑った。銃は好きだ。
好きだけど、相手の感触を味わえるという点では明らかに剣の方がいい。
その肉を引き裂く感触や、骨をかする振動まで響いてくる。それが俺は心地いい
なんてアンタを刺した後に言ってやろう。
「何を笑っている。」
「楽しいから笑ってんだよ、バージル。」
容赦なく首を撥ねに来たその刀を剣で受け止めながら、ニッと口の端をつりあげた。
バージルは一瞬呆れたように溜息を付いて、それから同じ様に笑った。
(なんだよ結局アンタも楽しくてしょうがないんじゃないか、ポーカーフェイスも保てない程に!!)