ダンテにしては珍しく風邪を引き、寝込んでいた。
おかげで仕事は俺が行くはめになり、たまには仕方ないかと思いながらもやはり面倒なことに変わりはなかった。「おかえりー。」
「薬は飲んだだろうな」
「・・・・・・・・・・・・・」
「目をそらすな」どこかの子供のようなこの弟は、だって面倒なんだもんと言い放ち俺に背を向けてシーツを深く被った。
紅く染まった青いコートを脱ぎ、適当な服に着替える。「・・・・・・・・・・何を見ている。」
「こっち見てないのになんでわかるんだよ」
「視線を感じた。」いつの間にかダンテはこっちを向いていたようで、背中に痛いほどの視線を感じる。
第一俺が何故ここで着替えているのかというと、他の部屋で着替えようとするとダンテが駄々をこねるからなのだが(それに答えてしまっている俺はつくづくダンテに甘いと思う)、さすがにこうも視線を感じると着替えもしづらい。「・・・・俺の知らない傷とかあるのな」
「ああ」
「・・・・・・・・」
「だったら何だ」
「誰につけられたんだよ」
「いちいち覚えていない」ぺたりと素足が床につく音がして、ベッドから降りたのだとわかった。
あえてダンテのほうを見ないでいると、後ろから抱きつれてしまった。「・・・・・・・・・なんだ」
ダンテは答えなかった。
熱が引いていないからだろう、もともと俺よりも高い体温が更に高くなっているように感じる。
腰にしがみつく腕を払うのも面倒だが、このまま服を着れずに風邪を引くのもこまる。「離せ」
「嫌だ」腕の力が強まり、更に体が密着する。
これ以上この状態が続くと、また一つ問題が出てきた。(それでも自ら我慢を強いるのはこいつに無理をさせたくないからなんだ、と自分に言い聞かせて)
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ヘタレなだけ うちの兄はヘタレ気味